シリーズAのスタートアップが経営陣・事業責任者に求めること(Findy編)

「シリーズAのスタートアップが経営陣・事業責任者に求めること」と書きつつ、主にFindy社内に関することですので事前にご了承下さい。

現在の会社が社員数30人を超え、徐々に組織として大きくなってきました。

このタイミングでやはり創業経営者である自分は現場への関与を徐々に減らしていき、組織全体のこと、例えばビジョンに関する発信やバリューの体現または称賛、或いはよりインパクトのあるアクションへと仕事の中心を移し、権限委譲を進めていかなければいけないと思っています。

その準備のために昨年後半から社内におけるミドルマネジメントの育成・体制作りや採用を進めているのですが、今回はその中心を担う経営陣や事業責任者に求めていきたいと思っていることについて書いてみました。

一般的には、社内でクローズドに発信される事が多い内容ではないかと思っています。しかしながら、こうした内容は今後、Findyにジョインを検討してくれている人にも伝わった方が良いのではないかと思い、できる限りオープンにしていこうと思い、ブログに書くことにしました。また、組織や人事に関わる会社として、一つの事例としての発信の意味合いで書いてみました。

プロダクト・技術とセールス双方の理解

まず最も大事にしていることの一つとして、経営陣や事業責任者になる人についてはプロダクト・技術と営業双方の理解を求めたいと考えていることです。

新卒で入った三菱重工業は技術をベースにプロダクトを開発しグローバルで販売をしている会社でした。そのためか、経営層は技術者出身の方は当たり前のように営業経験があり、営業出身の方は当たり前のように技術について深い知識がありました。そうしない限りにおいて、グローバルな市場環境で戦えないからこそ、当たり前のように両サイドの知見を持っている人が多かったのではないでしょうか。

一方で、ITの世界に来て感じたのは経営層あるいは事業責任者クラスが、営業出身であり、あまり技術に詳しくない人でも成り立ってしまうということでした。これは産業がまだまだ未熟なフェーズだったからかもしれません。2000年代の紙をWebにしていくところ、あるいは2010年代の Webをモバイルにしていくところのフェーズで、技術理解はビジネスの成功においてそれほど重要ではなかったのかもしれません。

しかしながら、2010年代後半からは当たり前のように産業の深いところにソフトウェアやアルゴリズムが浸透してくる中で、ビジネスでの成功要因として技術理解がより必須になってくるのではないかと考えています。

従って、事業を率いる者であれば技術・営業双方の深い理解があることが望ましいと考えています。
Findyではこの思いを体現すべく、例えばビジネスサイドの入社予定者に対してはTech CampやWeb Camp等でのプログラミング学習の機会を会社補助で提供しています。

或いは、エンジニアサイドについてもどんどん事業を率いる人が生まれてきてほしいと考えています。実際に、 CTOの佐藤は開発に加えて、事業そのものを作り出す挑戦にもトライしています。現在は、Findy Teamsというプロダクトを開発中ですが、以前にFindy Freelanceを立ち上げている際は営業先への電話アポイントメントなどもやっていました。もちろん、得意不得意はあるのでずっとテレアポをやって欲しいわけではありませんが、やはり営業サイドの大変さというものを含めて、双方理解した上で事業づくりに取り組んでほしいという思いからお願いしていました。

徹底した現場(ユーザーとクライアント)の理解

また、同じく大事にしているのが徹底した現場理解です。これは私自身が製造業出身だからというのは大きく影響しているかもしれません。当時、三現主義というものが大事にされていていました。具体的には「机上の空論ではなく、実際に“現場”で“現物”を観察し、“現実”を認識した上で問題解決を図るという考え方」です。

私自身は、設備投資の部門にいましたが、優秀なエンジニアは定期的に工場の現場に足を運び作業長や作業員と話をした上で、課題を理解し、問題解決を図っていました。もちろんでデータも取りながらです。そうしたことをしっかりやっている人の方が、良いアイデアや良い施策を打てていたような気がしています。

また、私自身がベンチャーに転職した際も、いきなりマーケやアライアンスの仕事ではなく、最初はカスタマーサポートとして入社し、2年ほど電話対応やメール対応を現場で行っていました。そうした経験がユーザーとどうやって向き合っていけばいいのか、或いはクレームを頂戴した際にどう対応すればいいのか、どうやって自社サービスのファンを増やしていけば良いのかといった現場感覚をしっかりと身につけることができ非常に良い経験になったと考えています。

もちろん、自分が起業した際も当たり前のようにスタッフが自分しかいない場合は、お問い合わせ対応もするし、或いはユーザーと面談をして課題を発見したり、営業先に足を運んでニーズを確認したりということを徹底して行っていました。

大切なのはこうした徹底、および現場への理解というもの自分がリーダーになっても絶対に怠ってはならないということです。リーダーになると、得てしてメンバーからの報告で分かった気になりがちです。これが事業成長のボトルネックになりやすい。

製造業の時代も良い事業本部長は必ず工場に足運んで現場の人と話したり、工作機械の裏側を覗き込んだり、寮に足を運んだりしながら課題を発見していたと言います。日本電産の創業者である永守さんは買収先の男子寮を必ず見に行くという話もテレビで聞いたことがあります。あるいは一緒に働いていた優秀なコンサルタントは、誰よりもよく現場に足を運び在庫の量を確認した上で投資判断のドキュメントを作っていました。机上の空論ではなく肌感、そして事業やそこに関わる人の息遣いをしっかりと理解することが、ひいては事業に対する解像度を高め、優れた戦略と有効な施策を生み出していくのだと思います。

ビジョン・バリューの体現と浸透

マネジメント層としては最も重要なことであり、当たり前のことになりますが、やはり会社のビジョンとバリューをしっかりと伝えていく、その先頭を担って欲しいと思っています。スタッフからするとリーダーがしっかりと理解した上で、体現してないことについて、真剣に考えるというのは難しいものです。

Findyのビジョンはこちら

まず、ビジョンについては日々の意思決定における最重要な基準として常に考えてほしいなと思っています。Findyに関しては「テクノロジードリブンが事業成長を増やす」、そのためにエンジニア個人のエンパワーメントと企業組織のテクノロジーの活用推進の双方を同時に実現するということを考えています。そのための転職マッチングやフリーランスの案件紹介、あるいは開発組織の活性化に関わるプロダクトの提供だと考えています。

また、バリューについては会社で働く上で最も大事にしていくことと捉えて設計をしているので常に仕事の中で意識し、またバリューに反する行動があればしっかりと改善していくということを意識していってほしいなと考えています。

高い視座

視座を常に高く持つ、ということも非常に大事だと考えています。日本を代表するスタートアップの人事の方に聞いたのですが、その会社では今いる執行役員や事業部長に対しては未上場時のタイミングからマザースの取締役クラスと同じ基準で仕事をするように、あるいは成果を出すようにということを決めて、常にそれを求めて組織づくりをしていたとのことです。

やはり中途半端ではない成長を実現した会社は、経営陣や事業部長の視座が非常に高く、常にもう一段先の自分が見たことない世界を意識したり、或いはそういった世界を見たことがある人と積極的に会話をし、学んだりしているんだと思っています。そして、その視座に合った行動を徹底しているというところ。

また、経営陣や事業部長の視座が高いと、結果的にスタッフの考えるレベルも上がっていくものだと思います。当然ですが、ジョインする人も視座の高い人と一緒に仕事をしたいと思いますし。これを言った以上は、僕自身も常に視座を意識しないといけないなと考えています。視座を上げるために、次のステージにいる人からどんどん学びたいし、今年はそういうところに力を入れていきたいと思っています。

熱量

次に高い視座を持った上で、それをつまらなそうにこなすのではなく熱量を持って実行していく必要があると思っています。

やっぱりなんだかんだでスタートアップは熱量が大事だと思っています。普通に考えたら大きな会社の方がお金があるし、リソースもあるし、更には技術的にも優れているわけです。そんな大手に対して小さな会社が挑む。普通に考えたらあまり頭の良くない考えかもしれません。

しかしながら、大きな志・ビジョンを持った上で成し遂げたいことがあるがゆえに社会で最も大きなインパクトを起こせるのがスタートアップだと思っています。またそういった想いこそが熱量につながっていくのだと考えています。

まずは組織をリードするものとしてはしっかりと熱量を持って、組織に伝播させていくことそれが最も重要だと考えています

再現性の有る仕組みづくり

また、その熱量を伝播させるだけではなく、現場でもしっかりと熱量を持って仕事に取り組めるようにするためには常に再現性のある仕組みづくりをしていく必要があると考えています。

お恥ずかしながら僕はこの仕組みづくり、というのが最も苦手な領域だったりします。こんなに偉そうなことをつらつら書いておきながらなんですが、経営陣や事業部長という職種は向いてないかもしれません。

以前にも営業の受注率UPについて現場と議論した際に、山田のやり方は真似してもあんまり意味がないし、再現性がないと厳しく突っ込まれたこともありました。なので、自らは創業者なので、そういった仕組みづくりのできる人にどんどんジョインしてもらえればいいと切り替えることにした経緯があります。

と言うと半分に逃げになってしまうんですが仕組みを作れる人を採用するという仕組みづくりが僕自身の仕事だとも思ったりしています。

仕組みづくりについては、現場主義とも相まって、この本が好きだったりします。今見たら2008年に初めて発注して読んでいました。絶対読んだ方がいい、ビジネスの古典だと思っています。

何でも言いやすい環境づくり

上記の6つのことを実行していくために、その基盤となるのが何でも言いやすい雰囲気、環境をリーダーが作っていくことです。これも非常にお恥ずかしながら、僕の得意ではない分野で、最近入ってきたミドルマネジメントのメンバーに、「山田さん○○なところがビビられてますよ」って言われました。ごめんなさい、という感じです。ついつい、突っ走ってしまい、その結果が悪気なく言いにくい雰囲気を出してしまうこともあります。このあたりは改善をしていくとともに、現場リーダーとともに会社全体で言いやすい空気を作っていかないといけないと思っています。

以上が今後、組織体制づくりをしながら、会社を成長させていうとするシリーズ A から B の会社が経営陣や事業部長に求めたいことです。こういった内容は徐々に変わっていくかもしれないので現時点で自分が思っていることではありますが、組織内外にこういった内容をオープンに伝えていきながら、より優秀な人にFindyにジョインしてもらい大きな挑戦ができるようにしていきたいと考えています。また、シリーズAフェーズの事業を営んでいる方にとっても一つの事例として何かの参考になればと思います。

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